くらしのページ

消費者教育について

(1)消費者教育を受けることは消費者の権利
1968年に成立した消費者保護基本法は、2004年に改正されて消費者基本法となりました。この改正により、消費者は「保護の対象」から「権利の主体」となり、必要な情報や教育の機会が提供されることが消費者の権利として明記されました(第2条)。また、国は消費者の自立を支援するため、学校や地域、家庭、職場などで消費生活に関する教育を充実させる義務があります(第17条)。

(2)わたくしたちにとって消費者教育が大切なのはなぜか
消費者教育を受けることで、商品やサービスに関する知識を得て、それを生活に活かす工夫を身につけることができます。これにより、自立した個人として合理的な判断ができ、取引で騙されたり危険な目に遭ったりせず、安心で安全な生活を送ることができます。また、他の人々や将来の世代の生活も大切にする意識を持つことができます。消費者教育はその手助けをし、国は消費者の自立を支援するために消費者教育の機会を保障する必要があります。

(3)生涯続く消費者教育
消費者教育は学校だけでなく、生涯にわたって様々な場面で受けることができます。私たちは生まれてから高齢者になるまで消費者として生活するため、消費者教育の機会も一生続きます。

(参考文献)よくわかる消費生活(消費者庁)

安全(消費者教育)

消費者の食の安全を守るためには、以下の点が重要です:
①食に対する関心を高める:食品を選ぶための知識を得ることが大切です。
②表示を確認する:生鮮食品の原産地、加工食品の原材料、消費期限※1や賞味期限※2、アレルギー物質の情報を確認しましょう。
③地産地消を推進する:生産者の顔が見える食品を選び、食料自給率を高めることが安全性につながります。
④五感を磨く:本物の味が分かる味覚を持つことも重要です。
⑤事故時の対応:万一事故が発生した場合、表示を保存し、保健所等に相談・情報提供しましょう。
これらの対策を通じて、安全・安心な食生活を送ることができます。
※1 消費期限:品質が劣化しやすいもの(おおむね5日以内)
※2 賞味期限:比較的劣化しにくいもの(おおむね5日を超える)


製品安全ガイド
(経済産業省)

家庭用シュレッダーやガス瞬間湯沸器など製品による事故を防ぐためには、以下の点が重要です:
①注意・警告表示の確認:製品の「注意」や「警告」の表示を確認し、正しく使用することが大切です。
SGマークの確認:安全性の基準に適合した製品にはSGマークが付いているので、これを参考に商品を選びましょう。
③適切な使用とメンテナンス:購入後は適切に使用し、長期間使用している製品は点検・修理を行いましょう。
④事故報告と情報活用:製品事故が発生した場合、製造事業者や輸入業者は国に報告する義務があります。※ 国はこの情報を収集し、消費者に公表して再発防止を図っています。国民生活センターなどの機関が行う商品テストの結果も活用し、安全な製品を選びましょう。
これらの対策を通じて、製品事故の被害を防ぐことができます。
※ 消費生活用製品安全法

くらしの危険
(国民生活センター)

エレベータやエスカレータなど施設での事故を防ぐためには、以下の点が重要です:
①利用者の注意:施設の危険性を正しく認識し、掲示されている利用上の注意をよく読むことが大切です。
②管理者の責任:施設の管理者は定期的に安全点検を行い、事故を未然に防ぐ努力をする必要があります。
③過信しない:利用者も「いつものことだから大丈夫」と過信せず、常に注意を払うことが重要です。
これらの対策を通じて、施設での事故を防ぎ、安全を確保することができます。

製品による事故や危害を防ぐためには、以下の点が重要です:
①安全性の確認:購入・使用時に製品の安全性を十分に確認し、取扱説明書や保証書を必ず読み、保管しておきましょう。
②事故時の対応
・事故品は現状のまま保存する。
・発生状況や使用状況を整理して記録に残す。
・警察や消防署に連絡し、医師の診断書を受け取る。
また、製品事故で損害を被った場合は「製造物責任法」に基づき損害賠償を請求できます。解決が難しい場合は、消費生活センターやPLセンターに相談しましょう。

※1 消費生活センター
※2 PLセンター:製品の事故が発生した場合に、迅速な解決を図る民間機関。製品の分野ごとに設立されています。

契約・取引(消費者教育)

普段の生活の中で、私たちは多くの契約をしています。例えば、「コンビニで買い物をする」「電車の切符を買う」「デリバリーピザを注文する」など、これらはすべて契約です。契約は売り手と買い手の意思が合意したときに成立し、口約束でも成立します。契約が成立すると、互いに約束を守る義務が生じ、有効に成立した契約は勝手にやめることはできません。

未成年者が契約を行う場合、法定代理人(親など)の同意が必要です。同意がない契約は未成年者本人や法定代理人が取り消すことができます。契約を取り消すと、商品を使用していても返品でき、代金は全額返金されます。
ただし、以下の場合は契約を取り消すことができません:
①小遣いの範囲内で行った契約
②結婚している未成年者が行った契約
③未成年者が「20歳以上である」や「親の同意を得ている」と偽った場合
④営業している未成年者がその営業に関して行った契約
⑤成人してから契約を追認した場合
未成年者が親の印鑑を勝手に使って「同意書」を作成したり、「20歳以上である」と嘘をついた場合、相手を騙して契約をした場合には契約の取り消しはできません。ただし、事業者に嘘を書くようにそそのかされた場合には取り消しが可能です。

典型的なトラブル事例として、以下のケースがあります:
①キャッチセールス:街角で「アンケートに答えて下さい」と声をかけ、営業所に連れて行き、化粧品やエステ、高額な絵画などを契約させる手法。主に女性が対象です。
②アポイントメントセールス:電話やメールで「抽選に当たった」「特別モニターに選ばれた」などと告げ、営業所に呼び出して商品やサービスを契約させる手法。アクセサリーなどが多いです。
③デート商法:電話やメールで出会いの機会を作り、デートを装って恋人気分にさせ、高額なアクセサリーなどを契約させる手法。訪問販売に該当する場合もあります。
これらの手法に対しては、常に警戒が必要です。

友人に「化粧品を買って会員になり、他の人を勧誘すると儲かる」と誘われ、契約したが、会員を増やせず在庫を抱えて困っているという事例があります。これは連鎖販売取引と呼ばれ、個人を販売員として勧誘し、さらに入会すれば利益が得られると説明されるものです。しかし、実際には加入者が見つからず、商品の支払いだけが残ることが多く、友人関係が悪化することもあります。簡単に儲かる話はないと考え、仕組みが理解できない場合は断ることが重要です。

契約は一度成立すると一方的に止めることはできませんが、訪問販売や電話勧誘販売、連鎖販売取引の場合は「クーリング・オフ」制度により無条件で解約できます。クーリング・オフは契約書を受け取ってから8日以内(連鎖販売取引は20日以内)にハガキなどで通知するだけで完了します。ハガキは両面をコピーし、簡易書留で送ると証拠が残ります。クレジット契約の場合はクレジット会社にも同様に通知します。詳細や不明点は消費生活センターに相談しましょう。

英会話学校の契約で「いつでも好きな時間にレッスンが受講できる」と説明されたのに、実際には授業に限りがあり予約も取れない場合、勧誘時の説明と事実が異なるため、契約を取り消すことができます。これは消費者契約法に基づき、契約時点にさかのぼって契約を無効にできるからです。
また、「確実にもうかる」と言われて契約した場合や、自宅に営業員が居座り契約を強要された場合も取り消しが可能です。取り消しを希望する場合は、契約時の状況を説明した文書を内容証明郵便で事業者に通知する必要があります。取り消しには期限があるため、早めに対応しましょう。契約書や説明時のメモは重要な証拠となるので大切に保管してください。

クレジットカードの入った財布を盗まれ、利用明細書に覚えのない利用代金があった場合、代金を支払う必要があるかどうかは次の通りです。
①補償の対象:クレジットカードの会員規約により、盗難・紛失による不正使用は警察に届出をした場合、一定条件を除き補償されます。
②管理の重要性:本人の管理が不十分だった場合は支払いを請求されることもあります。利用控えと明細書を照合し、カードは人に貸さず、常に身に着けておくことが大切です。
③暗証番号の設定:暗証番号は第三者に推測されないものにしましょう。
④計画的な使用:クレジットカードは「お金=借金」として計画的に使用し、必要最低限の枚数に管理しましょう。
これらの対策を通じて、クレジットカードの安全な利用を心がけましょう。

テレビCMなどで気軽に生活資金を借りたことがきっかけで、返済が苦しくなり、借金を繰り返す「多重債務」に陥る人が増えています。多重債務の原因は高金利や過剰融資であり、これを規制する法律も改正されました。消費者は借り入れ前に本当に必要かどうか、利息や金利を慎重に考える必要があります。多額の債務を抱えた場合は、弁護士に相談して債務整理を行いましょう。借金は将来の収入を先に使うことなので、計画的な買い物や貯蓄を心がけましょう。

情報(消費者教育)

インターネットで「美味しく食べて、やせられる」と評判の商品を取り寄せたが、味が好みではなく、効果も感じられなかったという経験があります。インターネットの普及により、情報を簡単に収集できるようになりましたが、その正確性を見極めるのは難しくなっています。ランキングや情報は閲覧者を増やすために加工されることもあります。また、匿名性の高い掲示板の悪質な書き込みが深刻なトラブルに発展することもあります。情報を集める際には、その正確性を見抜き、取捨選択する力を身につけ、間違った利用をしないようにしましょう。

ブログ※1やプロフ※2を楽しんでいたら、知られたくないことが暴露され、友人に笑われた経験があります。インターネットで個人が情報を発信しやすくなった反面、個人情報の悪用や中傷、私生活の暴露が問題となっています。これらは嫌がらせやいじめの道具になるだけでなく、名誉毀損や侮辱罪といった犯罪行為になる可能性もあります。
また、メールも誤解を生むことがあり、相手との関係を損なう場合があります。ネット上の情報やメールは一度出ると消去できないため、発信には慎重になり、責任を持つことが重要です。基本は自分がされて嫌なことは相手にしないことです。適切な表現を考え、言葉を磨きましょう。
※1:ブログ :日記風の簡易型ホームページ
※2:プロフ:プロフィールサイトの略。

ネットショッピングで「美品中古、お買い得」というブランドのバッグを購入したが、代金を支払ったのに商品が届かず、業者とも連絡が取れないというトラブルが発生しました。ネットショッピングのトラブルには、以下のようなものがあります:
①代金を支払ったのに商品が届かない
②事業者と連絡が取れない
③広告と届いた商品が違う
④注文したものと違うものが届いた
ネットショッピングにはクーリング・オフ制度が適用されないため、ショップは返品に関する特約をサイト上に表示する義務があります。ネットショッピングを楽しむ際には、ショップの評判を検索し、HP上の情報や取引条件を確認して信頼できる業者かどうか判断しましょう。また、ホームページの色々なマークも信頼の目安になります。

海賊版のCDやDVDは、著作権を侵害し、アーティストの収益を奪うため、購入してはいけません。知的財産には音楽、小説、マンガ、映画、写真、ソフトウェアなどが含まれ、法律で保護されています。偽ブランド品や海賊版の販売は違法であり、著作物を使用する際には著作権者の許可が必要です。ただし、個人使用や授業のためのコピーや送信は可能です。

環境(3R政策)

3R(スリーアール)は、環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための3つの取組の頭文字をとったものです。3Rは、リデュース、リユース、リサイクルの順番で取り組むことが求められています。
1.Reduce(リ デュース)・・・廃棄物の発生抑制
2.Reuse(リ ユース)・・・・・・・・・・再使用
3.Recycle(リ サイクル)・・・・・・再資源化

Reduce(発生抑制)
3つのRの中で、最も大切なのが「リデュース」。ものをごみにしない、ごみを発生させないことです。(ごみ減量・リサイクル
①使い捨てをしないようにしよう
・マイバッグを使用しましょう
・マイ箸・マイボトルを使用しましょう
・リデュース食器を利用しましょう
②必要のものは買わない・もらわないようにしよう
・計画的に買い物をしましょう
・食べきれる分だけ買いましょう
・なるべく詰め替え商品を買いましょう
・長持ちするものを買い、大切にしましょう
③こわれても直して使おう
・家具の修理は「家具修理・再生
・電化製品の修理は「電器修理・取付店
・衣類の仕立直しは「衣類のリフォーム

Reuse(再使用)
もし、自分では不用になってしまったものも、すぐには捨てず、活用する方法を考えてみましょう。
人に譲ろう
②「リサイクル家具」を使おう

Recycle(リサイクル)
どうしても出てしまうごみは、資源に戻して、有効に利用できるようにしましょう。
①きちんと分別しよう
②生ごみはリサイクルしよう

 

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